透明石英ガラスは、純度が高く、耐熱特性および化学的特性にすぐれていること、広範囲にわたる光の透過性が高いことなどの諸特性から、各分野に用途が拡大されております。
大きく分けて溶融石英ガラスと、合成石英ガラスとがあり、そのそれぞれが使用目的に応じてさらに細かなグレードに細分化されております。
石英ガラスの特長
高純度
非常に高い純度をもっています。
含有される不純物は非常に微量です。
アルカリなどの不純物を嫌う半導体や液晶製造プロセスに最適です。
光透過性
紫外から赤外の幅広い波長にわたって高い透過率をもっています。
特に短波長の紫外領域においては良好な透過特性を示します。
耐熱性
優れた耐熱性と低熱膨係数による耐熱衝撃性を併せもっています。
また、熱伝導率、比熱が極めて小さいことも特長のひとつです。
耐薬品性
化学的に極めて安定であり、優れた耐薬品性をもっています。
石英ガラスの用途
●工業用
焼却炉、溶鉱炉の耐熱窓
●光学用
分光光度計・医療分析機器および液体クロマトグラフ用各種セル / 光学用レンズ / プリズム / レーザー核 / 融合レンズ・ウィンドウ / エキシマレーザー核融合レンズ / 各種レーザー用レンズ
●理化学用
各種理化学実験用器具(ビーカー、試験管、蒸発皿、るつぼ) / 高純度蒸留水製造装置 / 溶剤蒸留器 / 反応器 / 石英ウール
●半導体工業用
CVD・拡散用各種炉芯管 / 各種ボート・治具類 / 洗浄槽 / 化学処理槽 / ベルジャー / チャンバー / 石英ウール / フォトマスク基板 / マスクブランクス / LCD用基板 / 高純度石英ガラス管・棒・板材料
●液晶用
合成石英基板
●照明用
光伝送材 / 水銀灯 / 超高圧水銀灯 / ハロゲンランプ / クセノンランプ用の管・棒 / 光源ユニット / その他各種ランプ用管
●その他
光ファイバー用管 / 電子加速器バレル板など
石英ガラスの純度(分析例)
Al | Ca | Cu | Fe | Na | K | LI | Mg | OH | |
溶融石英 | 8 | 0.6 | <0.01 | 0.2 | 0.6 | 0.1 | <0.07 | 0.04 | 200 |
合成石英 | <0.01 | <0.01 | <0.01 | <0.01 | <0.01 | <0.01 | <0.01 | <0.01 | <1000 |
単位:ppm
透明石英ガラスの機械・熱的性質
特性 | 単位 | 溶融石英ガラス | 合成石英ガラス |
密度 | g/m3 | 2.203 | 2.201 |
マイクロピッカース硬度 | kg/mm2 | 760~800 | 760~800 |
ヤング率 | kg/cm2 | 744,400 | 741,300 |
剛性率 | kg/cm2 | 318,000 | 317,000 |
ポアソン率 | – | 0.17 | 0.18 |
圧縮強度 | kg/cm2 | 11,500 | 11,500 |
引張り強度 | kg/cm2 | 500 | 500 |
曲げ強度 | kg/cm2 | 700 | 700 |
揺れ強度 | kg/cm2 | 300 | 300 |
歪点 | ℃ | 1,070 | 970 |
徐冷点 | ℃ | 1,180 | 1080 |
軟化点 | ℃ | 1,720 | 1720 |
平均線熱膨張率 | ×10-7/℃ | 5.9 | 5.8 |
比熱20℃ | J/kg・K | 749 | 749 |
熱拡散率19℃ | ×10-7m2/s | 8.3 | 8.5 |
熱伝導率 | Wm/K | 1.38 | 1.38 |